医療法人 厚生会 新着情報

 大雪です。過疎化の進んだ日本の地域問題として屋根の雪下ろしがクローズアップされてきました。「雪の降る街を」を歌えるのは除雪の行き届いた都会の若い人に限られるのでしょうか。視界が閉ざされきしみ続ける柱の下には、命さえも吹き消され兼ねない孤独な空間が拡がり、もどかしい暗欝とした冬籠りの時間が過ぎていることでしょう。津波対策と比較はできないものの、豪雪地帯の過疎高齢化に応じた積雪対策にも知恵を絞らなければならないでしょう。ボランティアが出動しているようです。大学教養時代の冬、北海道を独り旅しました。多くの思い出は今となっては宝です。襟裳岬の初日の出を計画したけれど、道が一部崩落したために通行止めとなってバスが行き着かず、結局広尾から様似に抜けて駅前の安宿で大みそかを過ごし、階下で宿主家族の見る紅白歌合戦のテレビを枕越しに聞いた記憶がよみがえります。冬の根釧原野に出かけたい申し出は当時珍しく、釧路の個人タクシーは連れて行ってくれませんでした。粋がった旅好きの若者の今となっては、あまりにも優雅で創られた感傷に甘んじた内容のように思えてきます。

 

 今シーズンのインフルエンザは子ども園~学童期の年齢を中心にA香港型が急峻に立ち上がってきました。西クリニックではクリアライン®InfluenzaA/B/(H1N1)2009をウイルス検出キットとして使用しています。かつてH1N1-2009pdm流行当時には各社キットを3種類ほど使ってみましたが、感度に差があると実感しました。今回のキットは今のところAH3N2に対する感度は程よいようです。治療薬も現在使用可能な3種類すなわち経口タミフル、吸入リレンザ、そして点滴のラピアクタを常備しています。一回吸入で済むイナビルは在庫の関係で常備していませんが、院外処方の発行は可能です。早期インフルエンザ治療薬の投与は2009pdmの重症化を防ぎ、死亡率を低下させた実績が日本にあります。薬物治療は発熱日数の短縮化が証明されており、社会(就学)復帰を早めます。ただウイルスの排出がまったく零になるわけではないことが強調され安易な早期就学・社会復帰は要注意といわれていますが、ニューラミニダーゼ阻害薬により親元(個体)から切り離されないウイルスの感染力は極力低下しており、公衆衛生学的にも抗インフルエンザ薬の投与を躊躇するものではないでしょう。私はそう考えています。ただ、発症早期には検査キットで陰性になることもあり、臨床症状ではインフルエンザが疑われても検査結果に惑わされることを経験しました。検査キットの感度を踏まえたうえで、そして臨床経過からの診断に確信を持つことが重要と考えています。

 

           №29 画像

  

  前々回の南蛮由来ポルトガル語の種明かしをしておきましょう。まずは食べ物から1.confetios:金平糖、2.castella:カステラ、3.tempererar:魚料理→天ぷら、4.bolo:(そば)ぼうろ、5.pao:パン、6.biscoito:ビスケット、7.bateira:小船→バッテラ、8.pons=punch(英):ポン酢、9.cambodia:カボチャ、10.zamboa:ザボン、11.caramelo:キャラメル、12.marmelo:マルメロ、13.pudim:プリン、14.olla(難問):鍋→オジヤ、

 日常品では、15.capa:法衣→合羽(ちなみにマントも葡語)、16.copo:コップ、17.jarro:水差し→如雨露、18.carta:カルタ、19.bot~ao:ボタン、20.vitro:ビードロ(ガラス)、21.orgao:オルガン、22.tabaco:タバコ、23.sabao:シャボン、24.charmela:チャルメラ、25.ransel:ランドセル、26.giba~o:胴衣→襦袢、27.veludo:ビロード、28.raxa:ラシャ、29.saraca:更紗、30.meias:メリヤス(莫大小)、31.tutanga:トタン、32.blik:ブリキ、33.veranda:ベランダ、

 それでは取って置き編で34.ombro:肩→おんぶ、35.letter:文字→レッテル、36.ontembaar:制御できない→お転婆、37.zondag:日曜日(サンデー)→ドンタク、半ドンは半分の日曜日(休息日)、38.pegi:ペケ(×)、39.pauw:孔雀→ぱあ(ちゃん)、孔雀のメスは地味で子育てをしないから? 40.pinta & cruz:諸説あり。ピンはポイントで一クロスは十(一から十まで)、「うんともすんとも」もウン(一)スン(最上級)どちらも譲らぬ第1級から転じたそうです。

 http://www.at-nagasaki.jp/nagazine/hakken1004/index2.html

いかがでしたか、ほとんどがお分かりになっていた答えでしょうか。あるいはホンマ?日本語と違うのというのもあったかもしれません。それほどまでに日本語の中に浸透している葡語です。まだまだあることでしょう。これはというのがあれば教えてください。

 最後に寒い冬に酒が旨いこの頃ですが、酒のアテにイクラはいかがでしょう。イクラはロシア語です!サケの卵は、ロシアでは「赤いイクラ」(красная икра クラースナヤ・イクラー)と呼ばれ、「黒いイクラ」(чёрная икра チョールナヤ・イクラー)はキャビアのことだそうです。乾杯!

カテゴリー: コラム

採用情報

2012 年 01 月 25 日 水曜日 

求人内容

 ・医療スタッフ(正職員)

  勤務内容:各企業などへの大阪市内を中心とした巡回健康診断スタッフ

         臨床検査技師、看護師、診療放射線技師

  勤務時間:午前9時から午後5時30分(ピーク時は早朝勤務あり)

  休   日:日曜日、祝祭日、年間24日公休、夏期休暇、年末年始  年間休日99日

  勤  務  地:貝塚市麻生中907番地の1又は大阪市西区南堀江3丁目15番26号

  応募資格:臨床検査技師、看護師(准看護師も歓迎)、

         診療放射線技師のいづれかの免許をお持ちの方 巡回健診経験者歓迎

  給   与:臨床検査技師   総額219,000円から302,000円

         看 護 師       総額226,000円から319,000円

         診療放射線技師 総額219,000円から302,000円

         賞与 年2回、昇給年1回あり ※全職種経験考慮します。

 

 ・医療スタッフ(契約社員)

  勤務内容 各企業などへの大阪市内を中心とした巡回健康診断スタッフ

         臨床検査技師、看護師、診療放射線技師

  勤務時間 応相談(ピーク時は早朝勤務あり)

  休   日 応相談

  勤  務  地 貝塚市麻生中907番地の1又は

          大阪市西区南堀江3丁目15番26号(応相談)

  応募資格 臨床検査技師、看護師(准看護師も歓迎)

         診療放射線技師のいずれかの免許をお持ちの方

         巡回健診経験者歓迎

  給   与 応相談 ※全職種経験考慮します。

 

  いずれのご応募も随時受け付けておりますので下記までお問い合わせください。

 

  Eメール jml@jml-group.co.jp

 

カテゴリー: 採用情報

  七草粥が済んで松の内も明け、あっという間に神戸大震災の1月17日が過ぎてしまいました。今住んでいる神戸の我が家も震災後の立て直しで、当時築60年の木造は見事に全壊しました。75歳の父は二階に寝ていて、南側に倒れこんだ大屋根の直撃を免れ、まだ暗い庭に歩いて降り立ったのだそうです。母は1階の狭い3畳間に寝ていて、数年前に改造した北側の風呂が支えとなってこれもタンスとの間の楔状の隙間に左足を挟まれていただけで奇跡的に大きな怪我もなく、明るくなって近所の人に助け出されました。考えれば家の前には笹の生えた土手の名残と溝(どぶ)程度の流れがあって、幼少時夏にはカエル釣りやドジョウをよく獲っていました。昔の川筋だったのでしょうね。砂上に立つ脆い全壊ベルト地帯でした。後日母の挟まれていた空間を見てよく助かったものだと思いましたが、それは枕元に置いてある茶筒を取ってこいとの母の強い願いで、まだ余震の残る神戸にやっと阪神電車が青木まで開通してからのことでした。  

                                                   春よ来い七草粥                                                                                                                                                                                           

 インフルエンザがいよいよ流行の兆しを見せてきました。大阪市西区はいつも大阪地域の中でも先陣を切って警報が発せられる区域です。府内流行のパイロット地区ともいえるでしょう。熱心な医師会の先生方がおられることもその裏には在ります。西クリニックでは1月17日にMR,MSの協力の下、インフルエンザとその治療薬の勉強会を行いました。我々の施設は健診を専らとする医療機関ですのでマスク着用の基本と受診者の皆様にもお願いするマナーの徹底ならびに手洗いの確認を改めて職員で行いました。

   

 さて、年末はカミサンと1泊で赤穂御崎に小旅行。かれこれ50年ぶりでしょうか私の生誕の地、相生を訪ね、代替わりして生家の面影はもうありませんが、母方祖母によくおんぶされて通った懐かしい路地を歩いてみました。途中室津あたりでの牡蠣尽くしの昼食は、バチバチと牡蠣殻が跳ねて、たまらない美味の趣向となりました。泊まった旅館の露天風呂からの入り日そして家島群諸島から昇る朝日は、静かな瀬戸内海の海面に映えて心洗われる光景でした。日の出を見るのは初めてとカミサン。えっ! 年幾つ?そういえば、旅行に行ってバーで飲んだり夜更かしはするけれど、朝はいつも気持ちよく寝ているな~。一方私は必ずと言っていいほど日の出前に目が覚め、街が起き始める時の匂いと音を感じます。全体の空気はまだ淀んでいるのに、なぜか生命の気配があるところを起点に立ち昇る気流が察知されます。静止の景色が揺れ動き始めるのです。こんなごく短い時間、特に外国ではこの瞬間に異空間での自己の存在を実感し至福の一時を数多く経験してきました。もったいな~、気の毒にな~。でもなぜか価値観が違うのに二人で旅行にはよく出かけます。これからは日の出前にたたき起してやりましょう。                                                                            

                                
12月30日の日の出 赤穂御崎より 12月30日の日の出 赤穂御崎より

  

 年末の私の行事に、ローストビーフ造りがあります。レシピを書いておきましょう。意外と簡単に美味しく出来上がり、切った矢先から無くなっていきます。特にグレービーソースが抜群です。 

            
                                ローストビーフ                
 【キニチのローストビーフレシピ】
 準備するもの:ブロック肉(通常はモモ肉。今年はイチボで挑戦しましたが少しサシが多すぎた。でもやはり旨かったです)約500~700グラム(max1kg)。セロリ葉、ニンジン、パセリ、タマネギ、ニンニク。バター、GABAステーキの素。ブイヨン。塩コショウ。赤ワイン。ガーリックパウダー。
 前処置:前日に、赤ワインをかけ、GABAのステーキの素、少々の追加塩コショウ、ガーリックパウダーを振りかけて冷蔵庫で肉を一晩寝かす。当日:まず冷えた肉をできたら室温に戻しておく(これは中まで火が通りやすくするためのポイント1です)。オーブン180度予熱。

かなり加熱したフライパンにバターを溶かし肉の全面をさっと焼き固める(ポイント2)。
オーブントレイに粗く切った野菜とバター、GABAステーキの素、ガーリックパウダーを敷き、表面を加熱凝固させた肉を載せて、さらに上にもバターと野菜を被せ、前日からの漬け汁と赤ワイン、ブランディ少々をかけてセット。

庫内温度はまず250度12分(サシが多い時は少し長め15分程度)、そして160度40分(大きさにより多少のアレンジ)。途中一回肉を返す。

肉を取り出し、アルミホイルで包んで室温で焼きなまし小1時間(この時に肉汁が肉内で落ち着きます。ポイント3です)。直ぐに切ってはだめです、旨い肉汁が高温のため液状で流れ出てしまいます。
問題はグレービーソース。300ccのブイヨン出汁を作り、肉を焼いた後のトレイに赤ワインを注ぎ、野菜や焦げ目をできるだけ赤ワインとともに回収して出汁に混ぜます。塩コショウ、ガーリックパウダー適宜。ひと煮立ちしたら、笊で野菜や焦げを漉して後、溶かしたコーンスターチでトロミをつけて出来上がり。

応用:小さいお肉ならお肉の全面はざっと炙る程度で手短に、250度は8分程度。160度30分で旨く出来上がるでしょう。    是非お試しください。

 

なお、年末弊社のHPサーバー不具合により更新したはずのコラム掲載が年明けになりましたので、南蛮語クイズの答えは次回にします

カテゴリー: コラム

 すっかり冬籠りの気温が続いていて、積雪も並々ならぬ今年のようです。インフルエンザは流行の兆しですが、学校は冬休みに入り、年末年始のお休みに一旦流行は頓挫するでしょう。紅葉も感染性胃腸炎(ノロ、サポウイルス)も今年は少し遅めに推移したようです。帰省に伴う民族移動で拡散し、お正月の休み明けからは冬型感染症が我が物顔に我々の街にやって来るかもしれません。手洗いを忘れないでおきましょう。

 さて年末になってではありますが、大阪西クリニックの放射線が今年8月の上部消化管レントゲンに続きこの12月26日(月曜日)に胸部レントゲンがデジタル化されました。アナログフィルムへのノスタルジアは私の年齢のためでしょう。レントゲン技師の個性さえも表れるアナログに対して、デジタルは冷徹に安定した画像を提供してくれるようです。ビュワ―上の拡大操作も容易、コントラストも自由に変えられ、ノスタルジアは慣れにより払拭されていくのでしょう。フィルム保管に伴う膨大なスペースと重量そして現像液という廃棄物も医療施設から消えていく運命です。ただ媒体はいとも簡単に処理され、抹消され、個人情報としてのセキュリティに完璧なものはありません。利便性に安穏とせず、フェイルセーフの仕組みを確立し、より一層慎重にそして医療の基本である誠実さを忘れず運用していきたいと考えています。

 

中

話変わって今日は外来語のクイズで年越しです。皆様、糖尿病の診断基準空腹時血糖が126mg/dlであるのは御存じでしょう。なぜこんな中途半端な数字なのと思われるかもしれません。これはブドウ糖の分子量が180であることがヒントなのです。検査結果の表記の仕方も我が国と欧米では異なります。そして、われわれの日常語の中にもルーツをたどれば外来語である言葉が少なからずあります。ルソンの壷はお茶壷としての歴史を持ち、東南アジア経由の文化が浸透している我が国です。いわゆる南蛮由来(主にポルトガル語)の詞探しをしてみましょう。答は次回です。

まずは食べ物から;1.confetios  2.castella  3.tempererar  4.bolo  5.pao  6.biscoito  7.bateira  8.pons  9.cambodia  10.zamboa  11.caramelo  12.marmelo  13.pudim  14.olla((これは難問です。冬の夜皆で暖まろう)

日常品では;15.capa  16.copo  17.jarro  18.carta  19.bot~ao  20.vitro  21.orgao  22.tabaco  23.sabao  24.charmela  25.ransel  26.giba~o  27.veludo  28.raxa  29.saraca  30.meias(莫大小)  31.tutanga  32.blik  33.veranda

それではとっておき、発想の転換が必要です;34.ombro  35.letter  36.ontembaar  37.zondag  38.pegi  39.pauw  40.pinta & cruz

これは外来語ではありませんが、東京の八重洲は1600年リーフデ号で日本に漂着したオランダ人、ヤン・ヨーステン・ファン・ローデンステイン(Jan Joosten van Lodensteijn)に由来するそうです。彼は日本人と結婚し、屋敷を今の東京駅近くに貰い受け暮らしました。ヤン・ヨーステン→耶楊子→八重洲になったのだそうです。

 

 では皆様、そしてご家族の皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

カテゴリー: コラム

 今年の紅葉は遅れ、しかも気温の変動の関係から穏やかに変化が進む奇麗紅葉ではなく、一気に枯葉に突き進む残酷な色模様だったようです。関西だけかな。六甲山も遠目には秋後半の様を呈しながらも、それはほんの数日だけで確かに鮮やかさに欠けて冬の過酷さを表徴するようなくすんだ山肌になりました。折しも室内に響くセルティックの音楽は一層うら寂しく響きます。この街の雰囲気とは関係なく、おかげさまで日々の健診業務は12月に入っても多忙の日が続いています。失注も少なからずある中で、新たな契約も生まれてクライアントの方々が来院してくださっています。私の頭の中が師走の毎日です。

 遅ればせながらの紅葉狩りに近場の西宮鷲林寺に先週末(4日)出かけました。僅かに名残はあるものの木枯らしですっかり落ち葉として地面を染める状態で、しわがれた境内となっていました。古刹ではあるもの、コンクリート製の土台等はやはり興ざめで、山津波の六甲山とはいえ、堅固さは侘び、寂びの風情には不釣り合いです。人は欲なもので、作り上げた自分のイメージに合わぬ物には冷淡になってしまいますね。次いで北山緑化植物園を訪れました。ここは寺より高度が約50m下がるおかげでしょうか少し鮮やかさが残っていて、特に北山山荘の庭周辺では残り紅葉を楽しむ事が出来ました。そうそう、12月3日我が家にサンタがやって来て、毎日せわしなく壁を登っています。

 http://www.nishi.or.jp/homepage/kitayama/garden/guide/sansou.html

 

 №26 

 

 さて、皆様はとても幸せな国に住んでいる、このことを改めて認識する話題を取り上げてみます。

 そんなことないだろう! 台風や震災などが次々と国土を襲い、円高に苦しむ中で何が幸せなものか。確かにこれは実感ですが、世界からみればうらやましい大げさにいえば理想ともいえる制度が日本には在るのです。2011年4月1日に日本は国民皆保険制度達成から50年を迎えました。皆保険制度は電気、ガス、水道のインフラストラクチャーのごとく、日常生活の中で当たり前のようにその恩恵に我々は浴しています。どこの医療機関でも原則本人3割負担で均質な医療を受けることが出来ます。我が国は平均寿命、各種健康指標など戦後66年の今世界のトップクラスを維持しているのは間違いありません。保健医療の普遍性は憲法で追及していく課題でありまたそれをこの皆保険で(敢えていえば疑似的に)短期間のうちに達成、維持してきたのが日本です。これは震災時に見せた日本国民の、世界から称賛される農耕民族的勤勉性と、同じて和せずとも同一性で安心する謙虚の美徳心が根底にあるからでしょう。しかしそれが、不況、震災、そして少子高齢化の中で風前の灯であり、また公平性、普遍性という社会主義的思想ほど欺瞞に満ちたものはないように思えるのです。欲望と差別に依拠するdevilが各個人には内在しているというこの現実に敢然と立ち向かわねばならない、今はそのための知恵と指導者の出現が待ち望まれているのだと私は考えています。前置きが長くなりました。メディカル朝日12月号の編集長が聞くには、東京大学医学系研究科国際保健政策学教授渋谷健司氏が取り上げられています。タイトルは「国民皆保険制度50年の計を生かすために」で、世界に冠たる英国の医学ジャーナル「Lancet」8月30日付日本の医療特集号の出版に至る経緯とその内容に関する概説です。渋谷氏と日本国際交流センター武見敬三氏の努力によって、この特集号は発行に至りました。折しも3月11日東日本大震災が準備期間中に発生し、むしろ現行の皆保険制度の抱える問題点を露呈させたようです。力作です。Lancet特集号のJapanese Transiation PDFをクリックすると日本語でEditorialからすべての記事が誰でもが読めてダウンロードできるようになっています。マスコミ記事ではなく、各著者がデータに基づき冷徹にかつ思いを込めて書き上げた記事が8編のコメント(それぞれに約2ページ)と6編の論文(14~15ページ)としてまとめられています。読むのは少ししんどいですが、日本の医療の今までと、浮き彫りになってきた問題点、そしてこれからを知り、考えることが出来ます。

 http://www.thelancet.com/japan#

 医療にはオレゴンルールというのがあって、アクセスが容易(いつでも、どこでも 誰でも 待ち時間なく)で、安い価格、高品質の3要件を満足させる医療制度はないとされています。戦車(タンク)に例えれば、攻撃力、防御力、スピードのいずれか二つを満足させることはできても一つはどこかで妥協あるいは弱点として容認せざるを得ないのと同じでしょうか。でもそれを求めて人、組織、国は努力を続けています。日本の皆保険制度はそれを理想的な形で達成・維持しているかに見えますが、これを機会に内在する矛盾と、その先に来るべき臓器別縦割りでない全人的(ホリスティック)医療として地域に根差したコメディカルチーム医療(医療、福祉の一体化)の将来像を皆様もひと時考えてみませんか。

 人の命はたわいもなく消え去ります。幻想の不老不死を他者から与えられるのを待つのではなく、自分の人生を考え、選択し、納得する。地域の中で生き、そして活かされる自分を実感できる瞬間。人はその時初めて人としての尊厳を自らの力で得るのではないかと思います。これをサポートするのが医療であり、人の生きていく過程に寄り添うNarrative Based Medicine が医療の重要なコンセプトとして認識されなければならないと私は考えています。

カテゴリー: コラム

 恒例の日本未病システム学会学術総会が去る11月19〜20日名古屋の今池ガスビルで開催されました。第18回の学会長は愛知淑徳大学健康医療科学部の井口昭久教授で、会のテーマは『長寿と未病』でした。HPのアドレスを書いておきますので、興味のある方は日程表を覗いてみてください。なかなか力のこもった学会でした。一般の方の興味深い所では、今話題のレズベラトールとサーチュイン(Sirt1)に関する東京大学大学院医学系加齢医学講座大内教授の「血管老化と長寿遺伝子Sirt1—動脈硬化未病における意義」の基礎医学的な発表と東邦ガス診療所林博史先生による「生命(いのち)を刻む体内時計〜健康と長寿の秘訣」でしょうか。また、聞き慣れない言葉かもしれませんがこれからの長寿社会では重要なキーワードとなるであろうサルコペニアならびにロコモティブシンドロ−ムに注目してください。一度ご自身でウェブ検索してみてください。

http://www.macc.jp/jmsa18/18mibyou_program.pdf

 

 今回弊社からは私の1題を含めて計3題を一般演題のポスターセッションで発表してきました。その内容は、メタボリックシンドロームのセクションで2題:L2-2 本社検査 角野正拓君の「腹囲正常群におけるアディポネクチン値の評価と自己管理指導への適用」ならびにL2-4 本社検査部長 竹内秀史君の「LH比とHOMA-Rの異常群における関連項目の変動」そして私の未病診断のセクションおける「自覚症状から未病を測る—体内活力指数および酸化ストレス度の有用性」です。長くなりますが私の発表のプロシーディング(後抄録)を掲載しておきます。お蔭様でこのセクションでの優秀発表賞をいただきました。

 

 私が以前に担当した学術総会は第12回で、まだ大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部長時代の6年前(平成18年1月)になります。場所は大阪KKRホテルでテーマは少し長いのですが「伝統に根ざすスローライフを今に活かし、明日を拓く未病 —時の流れ、心、次世代をキーワードとして—」でした。周産期からの未病そしてNarrative Based Medicine 日本の伝統的生活を懐古的ではなくどう今に活かすかを学会のコンセプトにしてみました。このため、二日目は学会長講演に引き続きKKRホテル6階にある清芳庵のお茶室で学会長自らのお点前(武者小路千家官休庵、芳野宗匠立ち会い 斎藤万千子先生指導)で、見下ろすのは大阪城の冬枯れの庭ではありましたが、絶好のシチュエーションのもと、学会参加者に一期一会のおもてなしを行いました。

 

          日本未病システム学会

 

 

 では今回の私の後抄録を掲載しておきます。来年半ば頃に日本未病システム学会誌に掲載される予定です。(後抄録は日本未病システム学会に帰属します)

 

自覚症状に関与する栄養素から未病を計る

 -「体内活力指数」及び「酸化活性度」の有用性-

【目的】自覚症状の設問から体内で起こっている各種栄養素の活性不足を論理的に解析し、それらから算出される疾病傾向潜在率、疲労度、栄養活性度、栄養充、肥満度の各分析値に基づいた体内活力指数を最重要ファクターとして未病状態を診断するのが「HQCチェック」です。未病の学会定義にも未病そのものに経時的段階があることは既に語られていることですが、このHQCチェックは疾病の自覚症状を調べる方法ではないだけに、既病のバイオマーカーではなく未病状態を反映するバイオマーカーとの相関がエビデンスとして検討されなければなりません。しかしながら未病のバイオマーカーとして単一の項目は存在しません。われわれは今までに糖代謝異常のマーカーとしてインスリン抵抗性:HOMA-R(血糖×インスリン/405)を、そして脂質代謝異常のマーカーとして酸化ストレス指数:LDL/HDL/アディポネクチンを取り上げて発表してきました。今回は引き続 き、1.集団の経年変化。2.各種疾病傾向潜在率と「HQC酸化活性度」並びにHQCチェックの中でも最重要と考えている「体内活力指数」の2項目との関連。3.循環器系への負荷指標としてのBNPと疾病傾向潜在率、体内活力指数との関係をみてみました。

【方法】医療関係企業の全職員を対象に実施される定期健康診査時にHQCチェックを併せて実施し、また通常の検査項目に加えて必要なバイオマーカー(アディポネクチン・BNP)を加えました。BNPは2010年度健診の新規項目です。採血は基本的には午前中空腹時で通常業務中の座位で行われています。一部昼食抜きの午後採血も含まれています。

今回は【HQC酸化活性度】を定義してみました。すなわち、体内での栄養活性度が高い状態であればストレス酸化(指数)はより有意に生体に関与すると考え、この活性度と疾病潜在率の関係を検討してみました。

 HQC酸化活性度=酸化ストレス指数×栄養活性度  酸化ストレス指数は上記

 脳性ナトリウム利尿ペプタイド(BNP)はCLEIA法で基準値は18.4pg/ml以下です。対象人数は2009年度157名、2010年度195名でした。

【結果】HQCチェックからは各人疾病潜在率の高い順から3傾向が選択されます。その中で、a)糖代謝負荷傾向、b)循環器系(心負荷)傾向、c)肝臓系(脂肪蓄積)傾向の3傾向を取り上げ、対照群中の出現頻度およびストレス酸化度ならびに体内活力指数との相関を検討しました。

1.2009年度→2010年度では、各々の疾病潜在率はa)29%→33%、b)37%→48%、c)10%→18%とそれぞれに上昇を示していました。新規に加わった対照群の年齢ならびに仕事量増加のストレスが一因かもしれません。

2.体内活力指数との相関傾向がみられたのは、2009年度ならびに2010年度ともにa)およびb)であり、それぞれに疾病傾向潜在率が高くなればなるほど体内活力指数の低下傾向がみられました。一方c)は当然のことながら疾病傾向潜在率が高くなれば酸化活性度も上昇していますが体内活力指数との相関は見られませんでした。この疾病傾向での未病状態ではカラ元気を表出する傾向があるのかもしれません。 

 

 図1 肝臓系(肝脂肪蓄積)傾向と「HQC酸化活性度」との相関  2010年 36/195人(18%)

 図 1

 

3.BNP に関してはこの値が高いほど体内活力指数が下がる傾向がみられました。循環器系(心負荷)傾向との相関では2群に分かれる傾向がみられました。循環器系疾病潜在率が低くてBNP高値群は未病としての循環器系以外の要因を考慮しなければならないのでしょう。年齢、性別、喫煙それに治療(薬剤)による介入等が考えられる要因です。

 その一つとして特に女性においては、鉄欠乏性貧血の存在が血中BNP値に影響しており、安静臥位でない採血方法がむしろ未病としての貧血負荷状態を表しているとさえ考えられます。

 また高血圧治療薬剤によってBNP値が変動する一例を経験しました。βブロッカー処方時には脈拍が50を超えることなく、階段昇降時に息切れを感じていましたが、ARBに変更することにより脈拍数は60を超え、運動負荷時の息切れは軽快しました。これに応じてBNP値はβブロッカー開始前置に低下しています。

 

 図2 BNPとヘモグロビン異常者(29/195人)

 図2

 

【結論】

1.自覚症状からの未病診断においては、単一のバイオマーカーとの相関でエビデンスを得ることは困難と思われます。

2、工夫としては複数のバイオマーカーによるフォーミュラ(数式)創作が考えられます。

 a. 体内事象をよりクローズアップさせるために疾病関連バイオマーカーによるア ンプリフィケーション(例;酸化ストレス指数=LDL/HDL/アディポネクチン)

  b.未病の段階で起こっていると思われる複数の体内事象のマーカーによるフォーミュラ(例 PreDxDiabetesRiskScore)

  c.生活習慣等の環境要因あるいは自覚症状指数とのコラボレーションフォーミュラ(例:HQC酸化活性度、GesundheitsCheck Diabetes FindRisk)

3、「体内活力指数」は、各疾病潜在率が高くなるほど低下する傾向がみられました。

 また当然のことながら「HQC酸化活性度」は、特に肝臓系疾病潜在率と強く相関関係を認めました。以上より、自覚症状からの未病アプローチとして、「HQCチェック」の活用の方向性が明らかとなってきました。

4、BNPは心負荷の有用なマーカーと考えられていますが、年齢あるいは採血条件により変動(上昇)することが知られています。しかし逆に非安静時、座位採血により、日常生活での心負荷を増幅させ、特に40歳以上女性貧血での潜在的心負担を評価できる可能性があります。 

 

以上です。

カテゴリー: コラム

 約1ヶ月が過ぎる間に秋が深まりました。22日には本町から御堂筋を少し北に歩きましたが、匂い立つ銀杏が落ちて黄色く色づき始めた葉はまだ確りと枝に残っています。仕事帰りのサラリーマンが急ぐ夕暮れ時でしたが神農祭りが道修町でちょうど執り行われていました。屋台の明かりが妙に暖かい色に眺められ、でも風邪気味の小生は足早に地下鉄の淀屋橋に急ぎました。そう感じさせる冬の気配が直ぐそこまで来ているようです。

 前回お約束した女性前立腺の謎にお答えしなければなりません。私のオリジナルではありませんので、教え子の一人としてお許しを頂き出典を記載して、今日は解剖学の不思議2題をお伝えします。

出典:大阪大学名誉教授 橋本一成先生のお書きになられた解剖学教室の講義余録から— 解剖学の抜け穴 2009年4月1日 発行 株式会社フリープレス 初版

 

 話題1 女性にもある前立腺

 解剖の教授がお書きになっている本なので、記述は正確であり、学生時代が懐かしく思い出されます。まずは男性の尿道についてのおさらいです。50〜60歳になると多くの男性は排尿障害に悩まされます。特に最近間質性膀胱炎による過活動膀胱症状が一般に認知されるようになり、切迫尿意と排尿後の尿失禁を私自身も経験し(今は軽快しています)、それを基に同年代のクライアントに話を向けると結構多くの人が経験していることに気付きました。男性の尿道は膀胱から内尿道口を出るとすぐに前立腺が関所のごとくに陣取っています。括約筋が弛緩し膀胱が収縮する絶妙の自律神経コントロールが排尿の基本なのですが、関所が立ちはだかると出るものが出なくなってしまいます。ジョロジョロと勢い無く、長時間の壁とのにらめっこを余儀なくされます。加齢の情けなさを感じる瞬間です。女性は良いな〜。過活動膀胱はあるにしてもそして腹圧性尿失禁が多いのはお互い様としても、加齢による尿失禁の様相は少し男女で異なるようです。

 そりゃ先生、男の尿道は長いから! うん? 分かりきった理由のように思っているかもしれませんが、肝腎の男性尿道の長い部分には排尿をコントロールする能力は殆どありません。さて、先生の御本の内容に移ります。今日はlecherousに参りましょうか。 少なからず興奮を覚える(ただし男性だけだと思いますが)女性の下着のお湿り(discharge)はなんとPSA陽性反応を示すのです。膀胱から尿の出口(外尿道口)までが尿道ですが男性は15〜20cm、女性は3〜4cmです.男性の尿道は三つの部位から構成されており、膀胱出口の内尿道口から約2cmは前立腺の中を貫通していて前立腺部と呼ばれます。その先約1cmは尿生殖隔膜すなわち骨盤腔を外に出る隔膜部で、残りが陰茎内の海面体部となります。女性の場合は尿生殖隔膜を境に2部構成となっており骨盤部(男性の前立腺部に相当)と骨盤外部に分けて呼ばれています。じゃ、女性の尿道の骨盤部を今一度よく調べてみようと学者(スロヴァキアのザヴィアチッチさん)は思いました。学者でない皆様は直感でハハ〜ン何かあるぞ、ここにはきっとと思われたことでしょう。はい、ありました。女性のこの部分を取り出してみると単純な尿道としてはあまりにも太い。そして発生3ヶ月の男性胎児の前立腺の芽(原器)と似た構造が解剖学的に認められ、しかも酸性フォスファターゼ等の酵素活性が証明されるとともに免疫組織学的に前立腺特異抗原(PSA)が証明されたのです。PSAは今や健診でも男性の前立腺腫瘍マーカーとして注目をあびている検査であることは多くの方がご存知でしょう。

 余談として恋に練達の諸兄は尿道のこの部位が膣前壁に相当する位置がいわゆるGスポットであることには前文の途中から既にもどかしく、したり顔でお気づきのことと存じます。この部位の刺激に全ての女性が反応するとは限りませんが、放尿ではない分泌液の排出はクジラもどきの表現ではなくもっと真面目に取り上げられるべきだし、男性は更に理解と真面目な努力そして神の創ったセックスパートナーへの敬意を忘れてはならないでしょう。お互いに歓喜への畏敬を持つべきです。

 話題2 カミサンの熊本では芥子レンコンが有名

 涙を堪えて鼻を抑えながらもついつい手が出る芥子レンコンは熊本の病弱な殿様細川忠利候の滋養強壮の食べ物です。さて皆様! レンコンの穴はいくつでしょうか?

 歓喜の後に卵子を求めて元気一杯の精子が群がって上流指向の移動を始めますが、これは鞭毛を激しく回転させての涙ぐましいエネルギー消耗合戦なのです。通常たった1つの精子が卵子に受け入れられます。あ〜!我が闘争。エネルギーの供給源はもちろん外側に並ぶミトコンドリアですが鞭毛の中心には真核細胞の繊毛、鞭毛に共通の9+2構造、すなわち真ん中に位置する1対の中心小管と9本のダブレット微小管が配置されています。我々が痰を咯出できるのも、卵子が卵管内を移動するのも、消化に関しての絨毛にもこの構造が基本型として存在しています。

 

              №24 画像

精子の構造出典:  http://blog.goo.ne.jp/iskw1112/e/a50c09af815a2f7b0a4adacba15f8004 

 

 

 我が家にあったレンコンの写真を供覧します。穴の数を数えてみてください。ちょっといびつではありますが、中央に小さい1対の穴があり周囲を9個の穴が取り巻いています。橋本先生の本によりますと、この9個の穴の配置に特徴があり隣り合っている2個の小さめの穴(写真では下方)を目印にすると対側に中ぐらいの穴が一個(上方に)あり大きい穴が左右に分かれてそれぞれに3個ずつ計9個。穴の大きさはレンコンによって異なるけれどペアの2個の対面に1個と左右鏡面に3個の配列はどれも同じだそうです。ひょっとするとレンコンは夜ゴニョゴニョと泥の中を動いているのかもしれませんね。

動物、植物と案外に自然界には共通のフォームがあるのが興味深いと思います。

カテゴリー: コラム

 ここのところ厚生会大阪西クリニックの健診は毎日多忙です。さて我々の陣容を紹介しておきましょう。事務方は扇事務長以下女性4名(主任N、F、T、M)で、電話そして受診時の皆様へ対応を7階事務室で行っています。検査技師はこれも女性3名(M、Y、T)で、6階フロアーでの心電図、超音波、眼底検査、計測等臨床検査を実施しています。5階に下りてみましょう。ここは採血、血圧測定そして放射線検査です。女性放射線技師U(将来マンモグラフの導入を考えての10月新規採用)に従来からのベテラン男性放射線技師(A、T)そして看護師Hが働いています。さらに診察場となっている6階を中心に各階の有機的連携と診察介助は古くからの看護師Sと今年春からのK看護師が担います。診察担当は火曜日午後(特診のみ)に西クリニック管理医師(院長)の西原、月曜日は午前・午後佐藤、そして火曜日午前から金曜日は私が診ています。婦人科健診は月に数回鈴木、北島医師にお願いしていますし、西クリニック元院長の放射線科専門の吉井医師そして町医師がレントゲンダブルチェックのために週2回勤務しています。

 

 さて、今日は電車にて出勤しました。カミサンの起床時間が遅く(これはよくあることで、起こすのは私)、犬(ポメラニアン・8カ月、リリー)の散歩準備が間に合わず駅での見送りはなし。ウン?発車時のこの微妙な電車の震えはクモハ(運転台付きモーター車、クハは震えません)207型-2042、吊皮が新しく、黄色で握り手が太いぞ。さて東西線海老江駅到着後千日前線への乗り換えは73段(16,15,15,14,13段に分かれています)の階段が待ち受けています。深い駅です。その日の体調を占うには格好の負荷試験となります。最後の3~4段はたいてい足の重たさを感じますが、飲み過ぎた翌日は真ん中あたりで厭だな~の気持が湧いてきます。今日は好調のようです。そして地下鉄千日前線阪神野田駅へ向かう最後の13段は軽いステップで合計86段を登り切り、地下鉄改札後はホームへの下りですがまだ段数を数えたことがありません(これを数えだしたら強迫神経症になるかな)。出勤時の電車はJR・地下鉄とも乗り換えの関係から先頭に陣取ることが殆どです。子ども時代は省線電車の前窓にいつもしがみついていました。地下鉄で好きな区間が玉川から阿波座の途中にあります。上り下りの両線が一つのドーム型トンネルを通るところです。両壁の蛍光灯が後ろに流れ、旨い具合に数回のカ~ブがあって前方窓からみていると先に何があるのだろうと期待感が湧いてくるのです。小学生のころ幾度となく観たオーソン・ウエルズの第三の男、ウイーンの地下の巨大下水道を彷彿とさせる空間が拡がります。阿波座駅の手前では上り下りが別々の方形のトンネルに入り込み、途端に天井が低く閉塞感で無粋な目的地に向かうだけの地下鉄に変わってしまいます。このカーブの地上は丁度堂島川と土佐堀の合流点で、阪神高速、船津橋が複雑に立体交差をなしています。地下と地上は関係のない顔をしていますが、それぞれの交通がいえ、それを使っている人々がそれぞれの思いで通過していることでしょう。

 

 今日のJRは尼崎駅で座席に座り短時間本を読みました。昨日読みはじめて面白くて仕方ない本です。阪大解剖学名誉教授橋本一成氏の御書きになった【解剖学の抜け穴】2009年4月星雲社発行です。脳脊髄液の循環を解剖学的に明らかにされた基礎研究者の一人です。脳脊髄液の循環は人体にとって非常に重要な循環系の一つで、今では交通事故で長びくトラブルの一つ鞭打ち症の病態として低髄液圧症候群(脊髄液漏れ)の根拠ともなっています。本書には脱線コラムが18もあって、知的好奇心をくすぐられます。そしてなんと、私の長年の疑問点、そして信じていることへの解答がこの書で得られました。男女の違いは遺伝子で決まります。その遺伝子はXとYの性染色体上にあります。Y上にある性決定遺伝子が正しく作動してくれると男になれるわけです。一次性徴、二次性徴を経て全く違う構造と機能を持つように見えても、人体組織、臓器の原基は男女共通のはずです。では、みなさん!ここで質問です。

男のおちんちんは女性では何に当たるでしょうか。これは簡単ですね。では、歳をとってくると排尿障害で男性の多くが悩まされる前立腺、オットそんなもの、女性にあろうはずがないとお思いでしょう?! 探究心熱心で少しやんちゃな男性は想像を巡らせて思い当るところがあるでしょうか。女性はえっ、そんなん気持ち悪い、前立腺が私の体の中に?と思われるかもしれません。でも、有るんですよ、それが。という記事を呼んで、今少し興奮しています。答は次回のお楽しみ。

 

      

       №23 写真

 

 閑話休題;菅元総理大臣は四国お遍路の旅に出られたようですが、第79代内閣総理大臣の細川護煕氏は還暦を機に政界を引退され、現在陶芸家茶人として活動しておられます。近衛家祖母の住まいがあった箱根湯河原を拠点に陶芸工房と茶室「不東庵」を設けて活動を続けておられるのです。先日香雪美術館で開催中の【細川護煕 陶と書】を観に行きました。以前より彼の作品は大好きです。でも茶杓をみて感じました。細い(シャレではありません)。書もそうやって見ると細い。とても上品で茶碗や茶入れ等陶芸の作は面白く線の切れ味が面白いのだけれど、それだけに茶杓は不安な細さを感じました。でもカミサン出身地肥後熊本のお殿様。以前京都北村美術館での展覧会では偶然に氏が風邪をひいて少しお元気ではなかったけれど在籍しておられて、一番安い書籍をカミサンは購入してサインを頂きました。今回香雪では晴耕雨読の本を奮発購入しました。

カテゴリー: コラム

 天災は忘れぬうちにやってくる。でも季節はいつものごとく移り変わり、今年も紅葉は少しの悲しみを引き連れながら、でもそれならば一段と鮮やかに心に沁みる色模様を演じてほしい。

 

 日経メディカルの10月号インタビューは、冬型感染症をいよいよ迎える時期を狙ってのインフルエンザ記事が掲載されていました。神奈川警友会けいゆう病院小児科;慶応大学医学部客員教授の菅谷憲夫氏の【抗インフル薬の早期治療が世界標準に】と題して、2009年に発生した新型インフルエンザ(今は季節性インフルエンザの亜型)の我が国と世界主要国の統計データの提示と解説(論文発表紹介)がありました。以後はすべてこの記事からの抜粋です。日本は諸外国に比べて圧倒的に重症化と死亡率が低かった事実があります。これは当時医療従事者が実感していた事柄です。新型インフルエンザによる人口10万あたりの死亡数は、米国3.96、カナダ1.32、メキシコ1.05に対し日本は0.15だったそうです。小児入院例に限ってみると致死率アルゼンチン5%、米国カリフォルニア州3%、イスラエル0.6%、日本0.1%。人工呼吸器装着割合はアルゼンチン17%、カリフォルニア州10.1%、イスラエル3.1%、日本1.2%といずれも日本の世界の中でも注目に値するデータを残していたことが分かります。(注:統計にはいろいろの抽出条件があることは理解をしておいてください)

 ではなぜ?その答えの一つとして、発症48時間以内に抗インフルエンザ薬で治療した割合を比べてみますと、アルゼンチン12~13%、カリフォルニア州44%、日本88.9%と格段に早期治療が開始されている日本の現状が浮き彫りになったそうです。インフルエンザ薬については種々の考え方や、マスコミの配慮に欠ける恣意的いや不見識な報道姿勢に左右されているわれわれの思いがあるにせよ、疫学処理されたデータが示す我が国の事実からは、皆保険制度の元に感染症から守られている我が国の実態には感謝しなければなりますまい。

 新型インフルエンザ流行当時は若年層の感染が目立ち、特に企業健診を担当していると、妊婦は別として壮年期の感染や重症化は稀であったように感じていました。型は違っても既往感染あるいはインフルエンザワクチンの接種既往が少なくとも抑止力になっていると考えていましたが、このインタビュー記事の後半にもワクチン生産量すなわち集団接種の実態と小児1~4歳児超過死亡の関係データが提示されていました。1989年ごろよりワクチン生産量が低下し始め(このことは集団接種が少なくなってきた)ついに1995年から学校での集団接種が任意接種に変わって超過死亡がプラスに転じ始めている。1990年代に約800人の1~4歳児がインフルエンザで死亡したと計算されるそうです。1990年代の脳症の多発は学童集団接種中止が原因であった可能性が高く、また集団免疫効果で幼児のみならず高齢者をも守っていたと考えられます。【社会は個人のために、個人は社会のために】がワクチン接種には当てはまるでしょう。

 

                                     
能勢の栗         
     

 さて、体育の日には能勢にクリ拾いに行きました。お昼は松茸すき焼きを食べてカミサンはビールでハンドルキーパーは我慢のスタイルは変わりません。たくさんの栗が拾えました。あとの処理が大変でしょうけれど楽しみです。そうそう、我が家のオリーブは2%苛性ソーダのアク抜きを十分行い、2%の塩水、そして3%の最終塩水につけて冷蔵庫に保管されています。一粒摘まんだところではアクの抜けた程よい塩加減がグラッパに最適の仕上がりでした。カミサンはまだ食していないので、どう評価してくれるか。グラッパを進み過ぎるのが気がかりです。

カテゴリー: コラム

 まだまだ暑い9月中旬の連休の一日、阪急宝塚線沿線山本駅近くにあるあいあいパークに出かけました。ホームページの一部を引用しますと「あいあいパークは花と緑の情報発信ステーションとして、1000年の伝統を持ち、 日本三大植木産地の一つである山本に平成12年4月オープンいたしました。イギリスの美しい地方都市サリーの17世紀頃のたたづまいを再現した、お洒落で斬新な雰囲気が魅力です。グリーンショップ、見本庭園、ライブラリーカフェ、各種園芸教室、緑の園芸相談、レストラン、ガーデニンググッズや生活雑貨の販売などなど、中身も盛りだくさんです!とあります。http://www.aiaipark.co.jp/outline/aiai_pamphlet/index.html

 

 我が家の猫の額ほどの庭は暑い夏を過ぎて夏枯れの感がある植物だけが現状です。例のごとく、濃い液体肥料をやりすぎたためか(秤量もせずに目分量をスポイトでボトボト如雨露に落としてしまうため、性懲りもないいつもの私の癖)、申し訳程度の花を咲かせてその命を長らえているかわいそうなお花達にこの暑さは堪えたようです。思い切って刈り込んで、気温が下がって来たのでようやく息を吹き返しそうな昨今です。一方随分大きくなったオリーブの木は、例年花は咲けども実はならず(自家結実性が無い種類でよくできて2~3個の実)。近所にもオリーブの木が見当たらず、1昨年植えた2本目のオリーブは日陰のためか大きくならず、孤独な我が家のオリーブの木なので、今年は開花時ジベレリンをいっぱい吹きかけてその所為かオリーブの実が今年は30個ほど獲れました。友人に聞くともっと黒くなるまで置いておかなくてはアカンそうで、早々と青田刈りをしてしまったようです。今は2%の苛性ソーダ液につけてあく抜き中です。食べられるかな~、今度は苛性ソーダを幾度も水を交換して洗い流し、塩漬けにする予定です。つまみにまで熟成させられるといいのですが、とり置きのグラッパとの相性が楽しみです。

 あいあいパークでは、40cm程度のシマトネリコ、パキラなど観葉植物数種類と木製で額縁風の花飾りを買いました。カミサンの趣味ですが、手入れは私で眺めるだけの彼女です。奈良町で購入したこれもカミサンのお気に入りの木札とを並べて紹介しておきましょう。

 

木札    観葉植物の花飾り額縁

 

 

 

 初夏から夏にかけて植物の手入れをしていると日に当たる明るいところをせわしく走り回る赤いハダニに気付かれる人は少なくないでしょう。今日はそのダニのお話をしてみましょう。節足動物門クモ綱ダニ目の愛すべき生き物です。社会のダニのお話ではありません。タイトルにあるTickは大型の吸血性のマダニ類でそれを含めてダニ全般をMiteとよびます。口部にある侠客いえいえ、鋏角が特徴で、これを持って対象物に喰らいつきます。古い話ですが私が米国サウスカロライナ州チャールストンに留学中の1978年春先に両親が観光旅行に来ました。サイプレスガーデン(ヌマスギ公園)に案内し、公園内の沼地をカヌーで周遊し草地で休みました。その晩「公一見てくれ」というので風呂に入ると、父の左肩に6mmほどのダニががっちりと喰らいついていたではありませんか。引きちぎっては鋏角が残るからダニの尻を炙れ、そうしたら熱くて口を放す、アルコールやマニキュア除光液(有機溶媒)で酔わす、左回転でねじり取るなどいろいろの方法論が巷にはあふれていました。結局ピンセットを使って鋏角を残さず肩から取り外すことが出来ましたが、それから父が帰国するまでは病気(ロッキーマウンテンスポッテッドフィーバ=紅斑熱)を発症しないかとずいぶん心配したものです。ダニと病気。そうです。有名な病気が日本にもあります。

 最近こんな記事を見つけました。広島県福山保健所は9月16日同市内の70代男性二人がダニに刺され、日本紅斑熱を発症。うち一人が死亡、一人は回復に向かっている。厚生労働省によると2008年に宮崎でやはり70歳代女性が死亡しているそうです。年間50〜60名の感染症例があり、近年増加傾向に有るそうです。恙虫病も北海道を除く全国で発症しており日本紅斑の約10倍、年間500〜600名の患者(マックス1000名)で推移しています。こんなに多いとは知りませんでした。いずれの病気もダニ内に寄生するリケッチアという病原体が原因です。ウイルスやクラミジアと同じく単独で増殖できず、寄生した動物の血管内皮系の細胞内でのみよく増殖するそうです。血管内皮が損傷を受けると、凝固線溶系の異常(播種性血管内凝固障害=DIC)から重篤な病態が引き起こされることになります。ちなみに日本紅斑熱はRickettsia japonica、恙虫病はOrientia tsutsugamushi(旧名R.tsutsugamushi)、ロッキー山紅斑熱はR.rickettsiiがそれぞれの病原体です。そうそう発疹チフスもR.prowazekiiというリケッチアで引き起こされる病気です。

 恙虫はダニ目ツツガムシ科のダニの総称です。ツツガムシ病リケッチア保有率は0.1~3%と言われています。恙虫病は古典型と新型に分けられているようで、前者はアカツツガムシというダニに吸着されて発症し、主に山形県・秋田県・新潟県を流れる最上川・阿賀野川・信濃川流域の風土病でした。河川に関連するのは、川を起点とする人の入山の行動様式と関連するからでしょう。後者は戦後に見られるようになり、タテツツガムシやフトゲツツガムシが媒介します。地域性が薄まってきている理由はバードウオッチングやネイチャリングツアーが盛んになり、山中深く分け入る機会が全国に拡がって来ているからと私は思います。通常ダニは山野に生息するげっ歯類(ノネズミ)や鹿等のほ乳類の体液を吸って生活環を形成しているようです。人はたまたまの感染です。

 

 ダニは身近に居ます。街のダニとしてはアレルギーの元になるチリダニ(ヒョウヒダニ)、これは血液検査(IgERAST)で感作の状態を知ることが可能です。そして近年介護施設等集団生活環境で多発しているヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が厄介者として知られています。ヒゼンダニはヒトの皮膚に潜りこんで疥癬トンネルを掘り、激しいかゆみを発生させます。

http://www.ylw.mmtr.or.jp/~noryuasa/su34.html

 

さて、今日はダニにまつわる話題を提供しました。

余談1:カミサンは佐賀県神埼郡吉野ヶ里町(背振)にある肥前療養所の卒業です。なんでヒゼンダニと叫んでいます。

余談2:大恩師阪大医学部山村雄一教授は講義の時、リッケチア、と言っておられたのを学生時代覚えています。あわてて教科書を自分で調べてリケッチアであることを確認したのが思い出されます。

余談3:高校時代、「つつがなし」という言葉をしっとるかという(渾名)髭の大原の国語の時間、ホ~と思って聞いた内容は間違っていたようです。【ツツガ=恙】はもともと病気や災難という意味であり恙無しはその原点から派生した言葉だそうです。それとは別に原因不明の発熱・発疹・筋肉痛を来たし時には死に至る病は恙虫という妖怪に刺されて(刺し傷が必ず見つかりますから)発症すると信じられていた。医学が進み病因が解明されて逆にこのダニが恙虫と命名されたのだそうです。

 

皆様も改めて 【ダニ】君を ウェブでいろいろ検索なさってみてはいかがでしょうか。

カテゴリー: コラム